【Excel】XLOOKUP関数とテーブルを使用した簡単なデータ検索

はじめに

Excelにおいて、データ検索や参照で長らく使用されてきたVLOOKUP関数は、検索対象が必ず左端にあるという制約や、列番号による指定の煩雑さなど、いくつかの制限がありました。そこで、Excel 365以降で利用可能になったXLOOKUP関数は、これらの課題を解決し、より柔軟な検索が実現できます。本記事では、XLOOKUPの基本的な使い方と、Excelのテーブル機能を活用してカラム名で分かりやすく列を指定する方法について具体例を交えてご紹介します。

XLOOKUP関数の基本

XLOOKUP関数は、以下のような構文で利用します:

XLOOKUP(検索値, 検索範囲, 戻り値範囲, [見つからなかった場合の値], [一致モード], [検索モード])

主な特徴は以下の通りです:

  • 柔軟な検索方向:検索値が範囲のどこにあっても対応可能(右方向だけでなく左方向も)。
  • エラーハンドリング:見つからなかった場合のデフォルト値を指定できる。
  • 簡潔な記述
    一致モード(match_mode)や検索モード(search_mode)を指定して、完全一致・近似値検索・ワイルドカードなどを柔軟に選択できます。

一致モード:

    • 0 = 完全一致
    • -1 = 次小値(見つからない場合は直前の値)
    • 1 = 次大値(見つからない場合は直後の値)
    • 2 = ワイルドカードに対応

検索モード:

    • 1 = 先頭から検索
    • -1 = 末尾から検索
    • 2 = 昇順バイナリ検索
    • -2 = 降順バイナリ検索

などが利用可能です。

これにより、VLOOKUPで必要だった「検索列は最左列でなければならない」といった制約が解消され、より柔軟なデータ検索が可能になります。

テーブル機能とカラム名指定のメリット

Excelのテーブル機能を活用すると、以下のような利点があります:

  • 自動拡張:データの追加や削除に応じてテーブル範囲が自動更新される。
  • 可読性の向上:セル範囲ではなく、テーブルのカラム名を用いて参照するため、どのデータを扱っているかが明確に分かる。

たとえば、以下のようなテーブル「ProductTable」があるとします。

商品コード 商品名 価格 在庫数
A001 商品A 1000 50
A002 商品B 1500 30
A003 商品C 2000 20

※テーブルを作成してテーブル名を付ける方法

  1. テーブルの作成: データ範囲を選択した状態で、Excel上部の[挿入]タブ → [テーブル]をクリックします。また、ショートカットキー Ctrl + Tでも同様の操作が可能です。ヘッダー行を含む場合は「先頭行をテーブルの見出しとして使用する」をチェックします。
  2. テーブル名の設定: テーブルを選択し、[テーブル デザイン](または[デザイン])タブから[テーブル名]に任意の名称を入力します。たとえば「ProductTable」など。これにより、カラム名を含めた構造化参照が可能になります。

このテーブルを使い、商品コード「A002」に対応する商品名を取得するXLOOKUPの数式は以下のように記述できます。

=XLOOKUP("A002", ProductTable[商品コード], ProductTable[商品名], "見つかりません")

ここで、ProductTable[商品コード]ProductTable[商品名]という形式で参照することで、どの列を利用しているかが一目瞭然です。従来のようにA2:A10B2:B10といったセル範囲で指定する必要がなく、データの追加や並び替えがあっても数式が自動で調整されるため、保守性が向上します。

実践例:テーブルを活用した動的なデータ検索

さらに実践的な例として、複数のテーブル間でのデータ連携も考えてみましょう。

例:売上データに商品名を追加する

2つのテーブル「ProductTable」と「SalesTable」があるとします。

ProductTable

商品コード 商品名 価格
A001 商品A 1000
A002 商品B 1500
A003 商品C 2000

SalesTable

売上ID 商品コード 売上数
S001 A002 10
S002 A001 5

SalesTableにおいて、各行の「商品コード」に対応する「商品名」をProductTableから取得する場合、以下の数式を利用します。

=XLOOKUP([@商品コード], ProductTable[商品コード], ProductTable[商品名], "商品なし")
  • [@商品コード]は、SalesTable内の現在の行の「商品コード」を示す構造化参照です。
  • テーブル同士の連携により、数式が自動的に各行で適用され、データの更新に柔軟に対応できます。

まとめ

  • XLOOKUP関数は、VLOOKUPの制約を解消し、検索方向の自由度やエラー処理の柔軟性を提供します。
  • テーブル機能を利用することで、カラム名を使った直感的な参照が可能になり、データの自動拡張・保守性が向上します。
  • これらを組み合わせることで、Excelでのデータ検索・参照が一層スマートになり、業務効率化やエラー防止に大きく寄与します。

ぜひXLOOKUPとテーブル機能を活用し、より柔軟でメンテナンスしやすいシート作成に挑戦してみてください。

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